ハンドメイド | 日本的、欧州的ニュアンスの違い

オーダースーツブランド名はRoad

ロゴにはRoadの下に、handmadeと付けている。

 

単純にホームページのドメイン名、SNSのアカウント名に

Roadだけでは通らなかったので「何か付けないと・・」と考えて付けた経緯がある。

 

オーダースーツと一口に言っても様々で、

大きな工場では作れない「手仕事」が中心のビスポークスーツ(フルオーダースーツ)の製作である。

 

手仕事を表現する単語としていいのでは?と感じたので付けるに至ったが、

その後、「ハンドメイド」と言う単語で誤解を生む経験をする。

つゆにも思わなかったレベルの誤解である。

 

 


Roadビスポークスーツのロゴ
下に「ハンドメイド」と入れているロゴ
ビスポーク仕立てのジャケットを着た女性
手仕事でしか作れない、ビスポーク仕立てのレディースジャケット

大き過ぎるニュアンスの壁


<こんなにも違うのか>

 

日本に於いてハンドメイドと言うと、

「趣味の延長で作ったアクセサリー、雑貨」

「個人の手作り感」といったニュアンスが伴う。

 

一方、欧州(ラグジュアリーブランド文化圏)では、

「高級ブランド製品」

「伝統技術を用いた、高度で緻密な手仕事」

と受け取られることが多い。

(自分はこの欧州的ニュアンスで使っている)

 

 

何故こんなに大きく受け取り方が違っているのかは不明。

このニュアンスの違いで、自分の商品の本質が伝わっていない感覚を何度か味わう羽目になる。

 

深緑ジャケット(しつけ糸付き)
製作途中のジャケット

<実体験「ハンドメイド」と言ってみた>

 

何かの集まりの自己紹介で「ハンドメイドでスーツ作っています」と言うと、

「うち、レンタルボックスやっているから、考えてみられては?」

「今度、マルシェがあるから出してみない?」

 

ITの相談に伺った際は初っ端から、

「検索キーワードで、〈オーダースーツ レディース 大阪 安い!〉で出てくるようにしてみるといい・・」など、

思ってもみなかったことを言われ愕然とする。

 

その度に「ハンドメイド」に対するニュアンスの隔たりを感じ、

「そうか、実際に商品も見ないで言う人がいるのか・・」

「否、画像見たうえで言われたのか?」

「テーラードスーツって普通の人達には見分けるのが難しいから、仕方ないか・・」

と、世間と自分のハンドメイドという言葉に対する認識のズレを確信することになる。

 

 

いくつかの誤解に日和って「もうちょっとカッコいいサブ名にしようかな?」と思考を巡らせたことも正直ある。

確かにメンズを主とするビスポークテーラーさんの多くのSNSアカウントを見ると、

○○_Bespoke

○○tailoring が多い。

格調高く、キリッと身が引き締まりカッコいい。

しかし格式張らない自由度の高い、レディース専門の自分には仰々しく感じ、真似する気にはならない。

 

 

ある程度、型が決まったオーダースーツで工場に出すタイプのメイドトゥメジャー(MTM)に対し、

ビスポークスーツ(フルオーダースーツ)という表記のものは、

少人数による手仕事(ハンドメイド)で細かな対応が可能であることを示している。

その点、嘘偽りはない。

 

黒パンツ(仮縫い)
製作途中のパンツ

<ハンドメイドでしか出来ない服を作る>

 

自分で服のパターン設計をし、自分で縫って、自分で仕上げアイロンをするのは事実であり、

「テーラーの伝統的手法のスーツ」という商品一択の自分には、ハンドメイドが相応しい。

自然体でこそ、無理なく誇りを持って活動を継続することができると信じ、

ハンドメイドが付いたロゴとSNSアカウント名をそのままに、刷新するのをやめることにした。

 

 

人がハンドメイドをどういうニュアンスで捉えようが、

製品の本質が高度な手仕事で構成されていて、それで人に感動を与えることができたら・・

それ以外は些末なこと。

これがウダウダ悩み、一周回って辿り着いた答えとなった。

 

ハンドメイドでしかできないレディーススーツの製作。

伝統ある手仕事で「新たな未来提示」をする。

「都会的で洗練された美しさ」で表現する。

当番回数の多い一着になる。

 

そのミッションを果たしていきたい。

 

 

黒ジャケットを着た女性
ビスポークの伝統的技法で作成したレディースジャケット

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