ビスポークという伝統に則した正統派のテーラード。
人が着てもエラー(シワ)が出ない、高い完成度を前提とした服である。
重厚感を湛えたテーラードでありながら、
女性が纏うと不思議と「ポップ」「軽やかな」雰囲気が立ち上がる。
これは、レディーステーラードならではの現象だと感じている。

ビスポークスーツの本質は永続性にある。
時代を凌駕する美しさでなければならない。
レディースでこそ活かされる曲線美を、無理のない形で表現し、
なおかつ保形性を担保する。
それができて初めて、価格以上の価値が生まれる。
反復作業を積み重ねて蓄積された技でしか到達できない領域。
時間を経てもなお残る服であることが、ビスポークの条件である。
そうした考えを念頭に置きながら制作しているが、
自作のレディーススーツをさまざまな方に着ていただくと、
その「重み」はどこかへ消え、
明るく、華やかで、どこか「ポップ」な印象へと変わることに気づく。
これはメンズではあまり見られない、レディース特有の現象である。
なぜ重厚なテーラードに軽やかさが宿るのか。
その理由を掘り下げてみたい。

服は、生地や付属といった材料以外に、
大きく分けて二つの要素から構成される。
1. 服の設計図である「パターン(型紙)」
2. 設計図を形にする施工としての「縫製」
この二つのうち、完成度に最も大きな影響を与えるのが
**パターン(型紙)**である。
自作のレディースと、他店のテーラー様との大きな違いは、
「設計段階における曲線の多用」にある。
メンズ主体のテーラー様が提供する直線的なレディースに比べ、
バストとウエストの差(ドロップ)を大きく取り、
よりダイナミックなシルエットを設計している。
これこそが、レディース専門を謳うにふさわしい、
着る人を最も美しく引き立てる要因だと考えている。
パターン設計では「滑らかさ」「丸み」「バランスの良さ」を
無理のない形で表現することを強く意識し、
その設計を最大限に活かす縫製によって、
長期使用を前提とした服づくりを行っている。

「自立した方にマッチする」
「きっちり“その人”の個性が出る」
実際に着ていただいた方々から、
共通して寄せられた感想である。
単にメンズをレディースにアレンジするだけでは、
決して追いつけない美しさがある。
この機会にぜひ、その違いを知っていただきたい。
新しい未来の提示として、
女性の選択肢が広がることを願っている。
クリームとグレージャケット・・建築士のレイラさん
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